「ほとんどの政治家が売国奴として、日本の水、日本の土地、日本の公共施設を売っています。それをいつまで黙って傍観しているんですか?」──都市伝説の語り部として知られる関暁夫さんが、ある講演でそう語りました。
この発言だけを切り取ると、極端で過激な主張に聞こえるかもしれません。しかし近年の日本の政策を振り返ってみると、「売国」という言葉が決して誇張とは言い切れないような現実が静かに進行しているのです。
たとえば2018年、水道法が改正されました。これにより、水道事業の運営を民間企業に任せる「コンセッション方式」が導入可能となりました。宮城県では、フランスの水メジャー「ヴェオリア」が参入しています。世界では、水の民営化により料金の高騰や水質悪化が問題となり、再び公営化に戻す国も多くあります。にもかかわらず、日本ではこうした外資系企業が“命のインフラ”である水の管理に関与し始めているのです。
さらに、空港や図書館、学校、病院といった公共施設も「PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)」と呼ばれる手法で次々と民間に委ねられています。仙台空港は完全民営化され、関西空港もオリックスと外国資本のコンソーシアムが運営しています。表向きには「効率化」「財政再建」が目的とされますが、住民の声が届かなくなったり、災害時の責任所在が不明確になるといった副作用も無視できません。
そして土地。北海道や長野、九州などの地方では、森林や水源地を中心に外国資本による土地買収が進んでいます。自衛隊基地周辺や重要インフラの近くでも買収が進んでおり、安全保障上の懸念も強まっています。2021年に施行された「重要土地調査法」は一応の歯止めとなるものの、実態は“事後報告”の域を出ていないとの声もあります。
関暁夫氏はこう語ります。「今の政治家に何を頼っても、誰も何もしてくれない。だから国民一人一人が本気で立ち上がらないと、30年後、50年後、100年後の日本はもう存在しない」と。これは過激なメッセージかもしれません。しかし、その根底にあるのは、私たちの“想像力”への問いかけです。
目の前の生活では気づかないことでも、水や土地、公共インフラが少しずつ手放されていく現実があります。それは、一見すると“効率的な改革”に見えても、長い目で見れば「自分たちの国を自分たちで運営できなくなる」という事態につながるかもしれません。
関氏の言葉を単なる都市伝説として片付けるのは簡単です。でも、見えないところで静かに進む変化に、私たちはもっと敏感になるべきではないでしょうか。
「知ること」「考えること」、そして「声を上げること」。
この国の未来を誰かに任せきりにしないために、今こそ立ち止まって考えるべき時が来ているのかもしれません。