大阪市で進行中の大屋根リング解体計画が、予期しない波紋を呼んでいます。350億円の木製リングを巡る論争は、政治家や建築家らの意見が分かれ、再び混乱の渦中に。大阪関西万博の象徴として設計されたこの構造物は、2027年3月の解体予定でしたが、最近になって「残したい」との声が上がり始めています。
知事の吉村博文氏や自民党の松川議員が保存を訴える中、設計者の藤本氏も来場者の笑顔を見て、「できれば残したい」と発言。しかし、問題はそのコストです。すでに2350億円に膨れ上がった予算の中で、大屋根の解体費用が350億円に達することに対し、経済界からは「もう払うものは払った」との不満が噴出しています。松本会長は、保存となれば新たな負担が発生する可能性について神経を尖らせています。
さらに、この建物は解体を前提に設計されているため、保存を選択した場合には大規模な補強が必要です。海に面したリッチは腐食が進行しており、維持には多大な手間と費用がかかる見込みです。仮に残しても再利用率は25%程度とされ、どちらに転んでもお金がかかる状況は変わりません。
協議はすでに非公開で進行中で、万博協会は6月に結論を出す方針です。松本会長は「国民全体に説明できる形で議論すべき」と警告を発しています。果たして、この350億円の木の輪は、未来のレガシーとして残るのか、それとも負の遺産として消えるのか。国民の税金を使う以上、明確な説明と決断が求められています。