岡晴夫、戦後の日本音楽界を彩った伝説的な歌手が、54歳でこの世を去った。肝臓癌との闘いの末、彼は5月19日に逝去した。視力をほとんど失い、体調を崩しながらも、最後の力を振り絞ってステージに立ち続けた彼の姿は、ファンの心に深い感動を与えた。
岡晴夫は1916年に生まれ、本名は佐々木達夫。幼少期に両親を失い、祖父に育てられた彼は、歌の才能を開花させ、1934年には音楽の道へ進む。彼の美しい歌声は瞬く間に人気を博し、「憧れのハワイ航路」などのヒット曲を生み出した。太平洋戦争中も兵役に就き、その後再び音楽界に復帰。昭和20年代には大スターとしての地位を確立し、全国各地での公演は常に満員御礼だった。
しかし、華やかな表舞台の裏には、過酷なスケジュールが彼の健康を蝕む要因となっていた。疲労困憊の中、薬物に頼るようになり、人気に陰りが見え始めた。昭和30年代には糖尿病を患い、視力も失われる中、それでも彼は舞台への情熱を失わず、復活を図るも、病魔には勝てなかった。
彼の最後の姿は、テレビ番組での収録であり、ファンの前で過去のヒット曲を歌う姿が放送された。その後、彼は静かにこの世を去ったが、その歌声と情熱は今も多くの人々の心に生き続けている。岡晴夫の生涯は、音楽の力と人間の強さを教えてくれるものだった。
https://www.youtube.com/watch?v=KACGIdh3H_I