マキ上田がプロレス界からの引退を発表した。その背後には、ジャッキー佐藤との深刻な不仲があった。両者が結成した「ビューティ・ペア」は一世を風靡したが、当時の人気の裏には切ない真実が潜んでいた。上田は「仕事に恋愛を持ち込まないでほしい」と願ったが、佐藤の恋愛は仕事に影響を及ぼし、二人の関係は悪化の一途をたどった。
1979年、ついにタッグ解散の決断が下され、上田は引退試合を迎えた。試合は悲劇的な結末を迎え、ジャッキーに敗れた上田はリングの後、互いに言葉を交わすこともなく別れた。「最後の試合後、ジャッキーは来なかった」と語る上田の言葉は、冷え切った関係を物語っている。
しかし引退の理由はそれだけではなかった。母親の死や、後輩の事故も重なり、彼女はプロレスの危険性を痛感した。「将来が不安だった」と語る上田。彼女の引退は、心の葛藤とともに決定されたのだった。
引退後、上田はタレント活動を経て、地元・鳥取に戻り、スナックを経営。そこで運命的な出会いを果たし、11歳年上の男性と結婚。しかし、彼女が佐藤との再会を果たすことは叶わなかった。上田が48歳の時、再会の約束をしたジャッキーは、がんに侵されていた。
今回の引退発表は、単なるプロレス界の出来事に留まらない。上田の人生は波乱に満ちており、試合の舞台裏には、友情と愛情、さらには悲劇が織り交ぜられている。この物語は、女子プロレスの歴史に刻まれる重要な瞬間であり、ファンにとって忘れられないエピソードとなるだろう。